根菜類は茹でてカリウムを減らす
周山栄養士 石田栄養士

透析患者の食事療法                                              

 1.熱量について
  人間は生命を保つために、一定の熱量が必要です。熱量が不足すると、抵抗力の低下、体力の低下、貧血、食欲不振などを招きます。一日 に必要な熱量は年齢、性別、生活活動量によって異なりますが自分に適した熱量が必要です。

2.たんぱく質について
  人間の体は、水分を除くと、ほとんどがたんぱく質で作られています。たんぱく質の不足は貧血やむくみの原因となり、また過剰摂取は排泄が追いつかず、血液中の尿素窒素値が高くなります。そのため、良質のたんぱく質を1.0〜1.5g/Kg/day摂ることが必要です。

3.水分について
  
正常な腎臓は、尿量を調節することにより、体内の水分量を一定に保っています。腎不全では、尿が出なくなり、体の中に水分が貯まります。水分を摂りすぎると、むくみ、体重増加、呼吸困難、血圧上昇などの症状が起こり、高血圧、心不全、肺水腫などの原因になります
     摂取してよい水分量は、尿量、季節、発汗量、運動量によって変わります。
  体重増加は、自分の適正体重の3〜5%以内に納まるようにします。
  一日の透析食の水分は、1000〜1100ml、一回の食事で350〜400mlの水分が入ります。
     
飲水は、基本的に尿量(ml)+300〜500mlです。飲水としての水分は、お茶・水・氷・うがいなどがあります。

4.塩分について
 正常な腎臓はナトリウムを調節しています。しかし腎不全では、ナトリウムの排泄ができにくくなり、むくみや高血圧の原因となります。そのため、一日の塩分量は5〜7gに制限します。

 塩分を摂りすぎると、喉が渇き水分が欲しくなり、水分過剰につながるので注意します。
 調味料と食品に含まれる塩分をあわせて、5〜7g以下にします。
 調味料の使い方として、
   ・醤油料理ばかりを重ねない。
   ・和風料理は塩分が多いので、洋風料理(ソース、ケチャップ、マヨネーズ)と組み合わせる
   ・お酢を利用する。
   ・下味をつけない。

   ・塩分を多く含む練り製品、加工食品、漬物、干物などの食べ過ぎに注意する。

5.カリウムについて
 カリウムを摂りすぎると、手指、唇のしびれ、胸が苦しい、だるいなどの症状が現れ、心臓が止ま
ってしまう原因になります。

 カリウム値は5.5mEq/L未満におさえましょう。
 カリウムは水に溶ける性質があるので、野菜を細かく切って、水にさらしたり、ゆでてゆで汁を
捨てるなどのカリウム処理をします。

 カリウムを多く含む食品は、いも類、豆類、種実類、海藻類、野菜類、果物類です。
 しかし、ほとんどの食品にカリウムは含まれているので、食事全体のバランスと量に気をつけま
しょう。

6.リンについて
 腎不全では、リンの排泄が低下するため体内に蓄積します。そのため血中のカルシウムが低下し、骨がもろくなったり、痛みや痒みが出たりします。
 便と透析で除去できる範囲でとるように食事の工夫が必要です。
 リンはたんぱく質を多く含む食品にたくさん含まれていますが、穀類や野菜にも含まれます。
 特に多い食品は、そば、玄米、ピーナッツ、骨付き小魚、干物、レバー、ハム、ウインナー、卵黄チーズ、牛乳などの乳製品、インスタント食品などです。

食 事 療 法 の L I N K
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